和敬静寂


 茶道とは

まさにわびさび

静寂のなかに

心を和ませるなにかがあるのです。

なんかわかったようなことを言いたかっただけ

とある秋の夕暮れ時

茶道の先生のお宅にてお稽古中

先生の家というのが

これまた立派な古い日本家屋でして

季節柄、こおろぎなどが

廊下の隅で鳴いているような、いい感じ。

廊下も歩くとみしみしと音がして

いいなあ、こんな家。

あ、お稽古お稽古。

道具を釜の前に並べ、

まずは茶筅通し。

お茶碗にお湯を入れ、茶碗にひびが入っていないか

茶筅が折れてないか等々調べつつ

お茶碗を温めるのです。

茶筅でお湯をしゃかしゃかと混ぜた後

茶筅を取り出し

お茶碗を手に持ち

中のお湯をぐるーっとゆっくり回して温め・・・・

温めて・・

!!

おわーっっ!!

お湯のなかでこうろぎが死んでいる!!

こいつはさっき廊下でころころ鳴いていたやつか!!

お前はなんでこんなとこにおるのぢゃ!

ひょっとして茶筅の中におったのか!

ばかたれ〜〜〜!!

この後、先生が台所で茶碗をざざーっと洗ってきて

それからまた仕切り直し。

お稽古は再回されたのでした。

ああ、わびさびはどこに

和敬静寂はどこに〜〜!